創業の精神

貧乏のどん底であった。
祖母は戦争で夫を亡くし、3人の幼子を抱え、ただ生きることだけに必至だった。
そんな家族の暮らしをなんとか楽にしたいというのが母の強い念いであった。
母は、中学校を卒業したその日から美容院へ見習いとして住み込んだ。
15の春であった。
『朝星・夜星』···まさにこの言葉通りの生活が始まった。
夜も明けきらぬ午前5時、大きな釜でお湯を沸かすことから1日が始まる。
美容師としての本来の仕事が終わった後も
先生や先輩の下着までも洗濯する毎日であり就寝はいつも日を跨いだ。

その後、結婚するも程なく離婚。
生まれたばかりの私を抱え、一向に楽にならない生活。
「なんとしてでもこの子を育てなければ」という想い。・・・
それが創業の原点である。
独立という道を選び、たった一人で我武者羅に働いた。
『ありがたかった』
『たくさんの温かいお客様に出会えた。地域の皆さんに支えて頂いた』。
ここまで来れたのは、すべて“人のおかげ”である。
事あるごとに口癖のように言う。
『とにかく社員さんを喜ばしんさい。お客さんを大切にしんさい』
そんな思いを継承していく使命がある。
生まれてきたこの命を「何のため」に使うのか・・・・・
全ての答えがここにある。
社員さんとお客さんに喜ばれること。
母の創業の精神を頑なに受け継ぎ、
FRAMEをさらに成長・発展させるという強い念い。
これこそが私の創業の精神である。